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関節リウマチに用いられる生物学的製剤

関節リウマチ

関節リウマチ(RA)とは、免疫機構の異常により主に滑膜に炎症が生じる慢性炎症性疾患である。RAでは、左右対称性の手指・肘・膝関節の腫脹、疼痛、朝のこわばり、易疲労性、微熱、体重減少などが認められる。

関節リウマチ(RA)の薬物療法

関節リウマチの機序は明らかではないが、免疫細胞の活性化により滑膜の増殖、パンヌスの形成が促進され、それにより骨・軟骨破壊が進むと考えられている。関節リウマチには、免疫機構を調節するもの(免疫調節薬)、免疫機能を抑制するもの(免疫抑制薬)、炎症サイトカインや受容体など特定の分子を阻害するもの(生物学的製剤)が用いられる。また、炎症と痛みを緩和するためにNSAIDsや副腎皮質ステロイド性薬、ヒアルロン酸が用いられる。

現在、RAの薬物療法では、メトトレキサートが中心的薬剤として用いられている。メトトレキサートを用いることができる場合には、早期よりメトトレキサートを用い、メトトレキサートを用いることができない場合には、早期よりメトトレキサート以外のDMARDsを用いる。メトトレキサート、DMARDsを用いても治療目標を達成できない場合には、他のDMARDsを用いるか、生物学的製剤を追加することを検討する。

生物学的製剤に関与する生体内物質

腫瘍壊死因子α(TNF–α)

・腫瘍細胞の壊死を引き起こす可溶性因子であり、また、炎症の増悪や組織障害などの生物活性を有するサイトカイン
・NF-κB 等の転写因子誘導に引き続く、IL(インターロイキ ン)-1、6、8等の炎症性サイトカインの産生、あるいは IL-1、6 受容体の発現を誘導する

インターロイキン–6(IL–6)

活性化 B 細胞を抗体産生細胞に分化させるサイトカイン
炎症反応において中心的な役割を果たしていることが示されている
関節リウマチ(RA)患者の血液中や滑液中に高濃度に存在する
IL-6の生物活性とRA 患者に見られる多くの症状(急性期タンパク産生,パンヌス形成, 関節破壊,貧血など)に関連性がみられる

細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA–4)

免疫応答を負に調節する免疫チェックポイント受容体
抗原提示細胞のCD80/86に結合することで第二シグナル(共刺激シグナル)の発生を抑制し、T細胞の活性を抑制する

RAに用いられる生物学製剤の特徴

インフリキシマブ(商品名:レミケード)

・世界初の抗ヒトTNFαモノクローナル抗体
・TNF–αを標的分子とする
・キメラ抗体であることから中和抗体が産生されやすいため、メトトレキサートを必ず併用する必要がある
・点滴で用いるため、自己注射することはできない
・関節の構造的損傷の防止効果が認められている

エタネルセプト(商品名:エンブレル)

・完全ヒト型可溶性TNFα/LTαレセプター製剤
・DMARDで効果不十分な関節リウマチ患者に対し、単剤で優れた有効性が認められている
・関節破壊の進展を抑制することが認められている
・CRP、ESR(赤血球沈降速度)を低下させる
・皮下注で用いるため、自己注射することができる

<参考:エタネルセプトとアバタセプトの構造>

アダリムマブ(商品名:ヒュミラ)

・ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体
・関節症状の軽減だけでなく、関節破壊進展の抑制効果が確認されている
・皮下注で用いるため、自己注射することができる

ゴリムマブ(商品名:シンポニー)

・ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体
・RAの疾患活動性の抑制効果、関節破壊の進展抑制効果を示し、身体機能を改善する
・皮下注で用いるため、自己注射することができる

セルトリズマブ ペゴル(商品名:シムジア)

・モノクローナル抗体のFc領域を取り除いたFab'領域にポリエチレングリコールを結合(PEG化)した、ヒト化抗TNF抗体
・Fc領域を持たないことにより、免疫担当細胞に対して補体依存性細胞傷害作用、抗体依存性細胞傷害作用を生じず、また、膜結合型TNFαとの結合後の細胞内情報伝達様式より、アポトーシス誘発などの細胞傷害を生じないことが示唆されている
・PEGを結合させたことで、たん白分解を受けにくく、作用の持続が期待できるとともに、炎症部位に集積しやすい可能性が示唆されている
・皮下注で用いるため、自己注射することができる

トシリズマブ(商品名:アクテムラ)

・ヒト化抗ヒトインターロイキン 6(IL-6)レセプターモノクローナル抗体
・点滴又は皮下注として用いられる
・皮下注の場合は、自己注射することができる

サリルマブ(商品名:ケブザラ)

・ヒト型抗ヒトIL-6 受容体モノクローナル抗体
・皮下注で用いるため、自己注射することができる

アバタセプト(商品名:オレンシア)

・ヒトCTLA-4の細胞外ドメインとヒトIgG1のFcドメインより構成された遺伝子組換え可溶性融合タンパク質
・免疫応答において、抗原提示細胞表面のCD80及びCD86に特異的に結合することで、T 細胞の活性化に必要なCD80/86とCD28の相互作用による共刺激シグナルを選択的かつ抑制的に調節する
・長期間にわたりRAの疾患活動性を抑制し、身体機能を改善、RAの関節の構造的損傷を防止する
・点滴又は皮下注として用いられる
・皮下注の場合は、自己注射することができる

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